大相撲秋場所で初優勝を果たした新大関の正代(28=時津風)が、再び“ネガティブ”な一面をのぞかせた。6日、都内の部屋で11月場所に向けて稽古を再開。約1時間、基礎運動を中心に汗を流した。初優勝と大関昇進で脚光を浴び、秋場所後は取材対応などで多忙を極めたが、この日の代表取材では「ゆっくりできたかどうかはわからないけど、それなりに休めたと思います」とリラックスしていた。

土俵では精神面の充実をうかがわせるが、場所後にはショックな出来事があった。この日、報道陣に故郷熊本へのメッセージを求められると「そういうの、だいぶいろんなところで(コメントを)取ってるんですけど、全部同じになるんですよ。『同じこと言っている』ってネットに書かれたんですよ」と、エゴサーチで傷ついたことを告白。「だって、だいたいそういうのって同じことになるじゃないですか。それで『また同じこと言っている』って書かれたので、もういいかな…」と、苦笑いを浮かべるしかなかった。

それでも新大関場所に向けて、気持ちは前を向いている。06年夏場所の白鵬以来となる新大関優勝にも期待がかかるが「今までの場所よりはプレッシャーを感じる。新大関として存在感をみんなに伝わるようにしたい。まずは勝ち越し目指して、自分の相撲を取りきることだけに集中できたら」と、謙虚な姿勢を崩さなかった。この日は基礎運動や筋力トレーニングに没頭。「筋トレ中心に体をつくって、その後に相撲取って感覚を確かめられたら」と今後の調整を見据えた。

熊本県出身では初めて賜杯を抱き、テレビ越しで声援を送ってくれた故郷のファンを沸かせた。「改めてたくさんの人に応援してもらったなと実感しましたし、とりあえず9月場所で少しでも期待に応えることができたんじゃないかなと思った」。地元熊本には7日に帰って3日間滞在する予定。あいさつ回りで感謝の思いを伝える。