大相撲の大関経験者で西十両3枚目の琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)が30日、電話取材に応じ、率直な胸の内を明かした。

西前頭11枚目だった秋場所は左ふくらはぎを肉離れして途中休場し、再出場するも白星は2つのみ。11月場所(8日初日、東京・両国国技館)では、05年春場所以来の十両陥落となった。

「正直悔しいなという感じ。でも勝てば上がれるし、という世界。前を向いていくしかないし、結果を招いたのも自分。いい機会だと思う。ネガティブにとらえがちだけど、自分としてはポジティブなところがたくさんある。まだ追究できるな、まだまだ力を出してないぞというところですね」と前向きな姿勢を見せた。

逆境に立ったからこそ、新たに感じることもある。退団が明らかになったプロ野球のソフトバンク内川聖一内野手(38)とは親交が深く、今シーズン中に掛けてもらった印象深い言葉があるという。「めちゃくちゃいい言葉をもらった。『無我夢中』の意味分かりますか?」と報道陣に逆質問。「うまくなったりする瞬間ってどういう時かっていうのを考えていると。『夢中な時』が内川選手の回答なんです」と明かした。

さらに「失敗したりうまくいかなかったり嫌なことがあったりすると、ふと我に帰る。そこで無我夢中にいけたらいいよね、と。我を無くして夢中でやることがうまくなることにつながるんだよね、と。我(が)が無くなったら夢中になるよね、みたいな。そんなことを内川選手が言えるメンタル状況もすごいと思うし、だからまだまだ自分も力をもらって頑張るし。同じ世代として頑張っていきたい」とベテラン同士で通ずるものがあったようだ。

朝稽古では、前頭の琴勝峰と相撲を3番ほど取ったという。「ちょっと感覚を見たくて。それぐらいで抑えました。何かわくわくしましたね。結構いけたので良かったなと思います」と11月場所に向けて調整は順調なようだ。明日以降も「体の調子を見ながら焦らずマイペースで」と準備を整える。