幕尻で優勝争いに加わる志摩ノ海は、よく辛抱して押しに徹したが、いかんせん力の差は歴然だった。12日目まで平幕下位と当たっていたのが、いきなり結びの大関戦だ。力の差は仕方ないが敢闘精神はほめていい。その幕尻相手に貴景勝は、やや立ち合いの当たりが弱かった。押してくる相手とはいえ稽古でも胸を合わせない相手に、やはり不気味さはある。だから、どうしても見てしまう。

ただ、9日目に負けた翔猿戦の同じ轍(てつ)を踏むまいと、突いて押して前に持っていきながらの流れは作った。最後のいなしも十分に距離を取っていたから出来た。常に自分のペースで決して苦戦には見えなかった。これで単独トップ。優勝争いで有利になったのは間違いない。千秋楽は照ノ富士戦だろう。このまま1差でいければ大一番になる。照ノ富士とすれば、まわしを…。展開を予想するのは明日にしよう。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)