「貴景勝が断然、有利なのは間違いないでしょう」。優勝争いで1差をつけて小結照ノ富士(28=伊勢ケ浜)との千秋楽結びの一番に臨む大関貴景勝(24=千賀ノ浦)の優位性を、協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)は見通した。

照ノ富士が2場所ぶり3度目の優勝を果たすには、本割と優勝決定戦と2連勝しなければならない。「照ノ富士の体調を考えると2番取るのは大変。万全ではないから2番取れる、膝が持つか分からない」と、あくまでも2連勝の可能性について「貴景勝断然優位」と言及したもの。「一番相撲となるとどうか」と、本割そのものの予想は言及を避けた。

一方で、貴景勝の立場から「負けてももう1番あるという気楽さもあるけど、そうなると集中力が欠けてくる。後(優勝決定戦)のことは本割の後に考えればいいけど、本割が終わって(優勝決定戦までの)短い時間の中で切り替えるのも大変」。本割の一番で決めるという気持ちが大事、ということを説いた。88年春場所で、横綱大乃国(現芝田山親方)に千秋楽本割、優勝決定戦と連敗し13勝2敗で逆転優勝を許した経験がある。「俺も2番続け(て負け)たことがある」と苦い経験を味わったからこそ話せる、リードした側の落とし穴を説いていた。