大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が18年九州場所以来2年ぶり2度目、大関としては初めての優勝を果たした。本割一発で決めることはできなかったものの、最後は勝ち切った。

1差で追いかける小結照ノ富士との結びの一番に敗れて13勝2敗で並んだ。何度も突き放して遠ざけたが、もろ差しでつかまると浴びせ倒しで背中から倒れた。

約10分後に行われた優勝決定戦、出足の鋭さで上回った。立ち合いで照ノ富士の上体を起こすと、2発、3発、最後は左で一押し。2度目の優勝が決まると、表情がわずかにゆがんだ。

2横綱、2大関が休場して一人大関となったが、重圧のかかる中でも出場最高位の責任を果たした。両横綱の初日からの休場が決まった今場所初日前日には「結果が求められる」と、大関としての自覚をにじませていた。

場所が始まると3日目には大関朝乃山が、5日目には新大関の正代が相次いで休場。その中でも「自分は自分なので、あまり人のことを考えず、その日の一番集中して自分がどういう相撲を取っていくか、それだけ考えてやっていく」と己と向き合った。

長いブランクにも終止符を打った。17年初場所の稀勢の里を最後に、先場所まで21場所連続で大関の優勝がなかった。77年名古屋場所から81年夏場所まで24場所連続で大関の優勝がない時代もあったが、そのうち23場所は横綱が優勝。ここ3年で関脇以下の優勝は9場所あり、今年にいたっては幕尻優勝が2度起きるなど番付の重みを示せていなかったが、1年納めの場所で24歳の貴景勝が威厳を示した。

▽八角理事長(元横綱北勝海) 優勝決定戦の貴景勝は「照ノ富士の変化はない」とかけて開き直った。これだけいい相撲を取ってくれてコロナ禍の中、観戦に来てくれたお客さんも喜んでくれたでしょう。本当にいい大関、1人大関として本当に立派だ。照ノ富士が頑張ったからこそのいい相撲だった。