大相撲初場所(来年1月10日初日、東京・両国国技館)で綱とりに挑戦する大関貴景勝(24=常盤山)が10日、横綱白鵬が「壁」として立ちはだかると宣言してることについて「横綱とやる前に負けていたら話にならない。自分ができるのは力を出し切るだけ」と無心を強調した。

この日は都内の部屋で基礎運動に加えてぶつかり稽古などで体を動かした。綱とりに挑む貴景勝について9日に「強い壁があってこそ越えて上がるべき。15日間の中で1日どこかでぶつかるわけだから、思い切りいきたい」と発言した白鵬は、18日から両国国技館内の相撲教習所で行われる合同稽古に参加する予定。自身も参加する見通しだが「人は関係ない。自分がどうするかだけだから」と淡々としていた。

大関として初めての優勝を果たした11月場所の優勝決定戦では「初めて脳を止めて体に任せた」と未知の精神状態で臨んだが、成功体験とは位置づけない。「過去の自分を、勝ったから正解だとつなげることは絶対に良くないと思う。いい相撲取って負けても『頭が真っ白だった』となる。勝ったら『無心だった』ってなる。勝ち負けで決めるのは、ちょっとバクチみたいになってしまう。何がいいかとか正解は分からない」。朝稽古のルーティンや食事などで験を担がないタイプ。「一生懸命やって負けたら、弱いから負けたんだからと(今は)思ってるけど、昔は変に理由を探してしまったことがあった。今はそのとき一生懸命やったならそれでいいと思う」。雑念を振り払い、黙々と本場所の準備を進める。