大相撲の横綱鶴竜(35=陸奥)が、初場所(10日初日、東京・両国国技館)を休場することが決まった。8日、師匠の陸奥親方(元大関霧島)が明らかにした。休場は4場所連続で通算19度目。昨年11月場所後に横綱審議委員会(横審)から「注意」の決議を下され、再起を目指す場所だったが、持病の腰痛などで調整が進まなかった。5日には白鵬の新型コロナウイルス感染も判明。3場所連続で、初日から横綱が不在となる見通しとなった。

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鶴竜が、さらに苦しい立場に追いやられた。

電話で陸奥親方に休場を申し出たのは、前日7日の午後9時ごろ。師匠は「『腰があまり良くない』と。準備不足だと思うんだけどね」と説明。11月場所後には横審から休場の多さを理由に「注意」の決議を下されただけに、初場所では好成績を求められていたが、無念の4場所連続休場となった。

陸奥親方によると、ぶつかり稽古では若い衆に胸を出して出場の可能性を探ってきたが、相撲を取る状態には至らなかった。師匠は「ぼちぼち胸出すのも数を増やしてきたんだけど、そこで腰の調子が良くないということで。やっぱり稽古できないのが一番、本人もつらいと思う」と心中を察した。

「日本人鶴竜」として初めて臨む場所のはずだった。昨年12月10日、2年半の手続きを要して日本国籍を取得した際は「ひとつ悩みの種が消えたので、すっきりとまた相撲に集中できると思います」と吐露。現役引退後に親方として日本相撲協会に残る資格を得ただけに、前向きな気持ちで調整を重ねていたが、体は思うように動かない。最後に報道陣の取材に応じた5日の稽古後には、腰痛を抱える自身の状態について「いつもと比べて満足いくかたちではないかもしれない」と不安な思いを明かしていた。

春場所では進退が懸かる。陸奥親方も「本人しか分からないからどうこう言えないけど『次はないよ』ということ」と“猶予”は与えないつもりだ。鶴竜自身も「来場所、引退かけて、1日でも早く稽古できる体をつくって頑張ります」と意気込んでいるという。最後に15日間を皆勤したのは、12勝3敗で優勝次点だった昨年春場所。背水の覚悟で、復活を期す。【佐藤礼征】