4連敗した大関貴景勝について、NHK大相撲中継で解説を務めた中村親方(元関脇嘉風)が苦しい胸の内をおもんぱかった。

向正面で解説を担当した中村親方は貴景勝が敗れた後、次のようにコメントした。

「本来の貴景勝らしさ、両手で頭からぶちかましながら突き放して、何回もぶちかますようなところが出ていない。心の奥に負けたくないとか、連敗の影響があるんじゃないか。好きでこういう突っ張りをやっているとは思えない」

さらに、幕内実況を務めたNHKの大坂敏久アナウンサーに向けて、こう続けた。

「あと、この放送中に大坂さんが何度も『綱とり失敗』『綱とり失敗』とまだ3日目でどうしても…、失敗というか絶望的、3日目なのに絶望と言われるじゃないですか。やっぱり置かれている立場が本当に厳しいところにいてやっているから、まだ3日目なのに絶望と言われると、そういうところも乗り越えていかなきゃ横綱にはなれない、横綱というのは厳しいものなんだなと思いながらずっと聞いていました」

放送中、大坂アナウンサーは「綱とり失敗」とは言っていない。中村親方のコメント中にも、その旨を指摘しようとしたが、割り込むことはしなかった。取組前には、横綱昇進がかかる貴景勝の現状について「絶望的」と指摘し、実情を端的に伝えていた。貴景勝のふがいなさを強調しているわけではなかったが、一方の中村親方は力士に近い立場として、苦境の貴景勝を思いやっていた。