非の打ちどころがないとは、大栄翔の相撲を指すのだろう。役力士全員に勝つのも立派だが、何より内容がいい。

6連勝中も「今場所一番の相撲」というのが何番もあったが、それにも増してこの日の相撲がベストの内容だった。踏み込んでから隆の勝の体を根こそぎ起こすような突き放し、回転のいい突っ張り、足も休まず前に出ている。15戦全勝もあるぞ、と思わせる快進撃だ。

残りの対戦相手をみると、あとは相手というより、自分自身との闘いになるだろう。8日目以降、番付で格下と当たっても7日目までと同じ気持ちで臨むことだ。気持ちが受けに回らないこと。優勝争いの経験がないだけに、そこは一抹の不安だが、今のところは何も考えなくても体が自然と動いている。1日1番、毎日を一生懸命に取って終わってみたら結果が出た-という自然体で行けば、おのずと初優勝は見えてくる。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)