正代が大関の意地を示した。「大関として負けられない思いはある」。阿武咲を押し出して1敗を守った。大混戦の場所は大栄翔が全勝キープも、1敗も正代を含めて明瀬山と2人だけとなった。先が見えない後半戦へ、優勝経験のある正代は「考えれば硬くなる。成績としてもいいんで、この調子で千秋楽までいきたい」と気持ちを高めた。

勢いのある阿武咲を相手にしなかった。「立ち合いから出足もよくて、よかったと思います。だいぶ落ち着いてとれている気がします」。序盤のバタバタした感じは消えた。どっしり構え、大関の相撲を見せた。

11月場所の途中休場の原因となった左足首について「前に出る分には問題ない。なるべく下がらないように意識しています」。けがの不安も払拭(ふっしょく)するのも前へ、しかない。「かど番なんで1つ1つ」と謙虚な大関が、本来の力を取り戻してきた。【実藤健一】