師匠の座を譲って、これほど肩の力を抜いて朝乃山の相撲が見られるとは思わなかった(笑い)。だから気持ちも、くみ取れる。自分も経験したが、初めてのかど番は8番勝って大関の地位を守らないといけないという気負いで、肩に力が入り自分の相撲の流れに持ち込めない。前半の朝乃山はそうだったろう。3つ負けて、ようやく本来の姿に戻った。押しの強い隆の勝に、右から振られ肩越しの左上手を切られても、圧力をかけ続けたから体勢を崩すことができた。

正代とともに番付最上位として、曲がりなりにも優勝争いに加わった。かど番脱出でホッとしたいところだが、大関としては最後まで優勝争いに加わらなければダメだ。千秋楽結びの一番まで可能性を残すためにも、12日目の照ノ富士戦が重要だ。ここは中に入って二本入れるぐらいの気持ちで行ってもいいんじゃないかな。いかん、また肩に力が入ってしまった。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)