千秋楽を前に、2敗を守った平幕の大栄翔(27=追手風)が再び単独トップに立った。

破壊力のある突き押しで定評のある玉鷲(36=片男波)を、土俵際まで押し込んだ後、引いて呼び込む形になったが、押し込んだ分、背後の土俵にスペースがあり、軽快な引き足で上体から突っ込む玉鷲をはたき込んだ。引いて墓穴を掘りかねない内容だったが、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)の見立ては「今日は元に(前半戦までのように)戻って立ち合いから躍動感があった。(引きも玉鷲を)のけ反らせてのタイミングだから。勝負どころで勝負勘が良かった」と、流れの中で出した引き技を評価した。

2敗で並んでいた正代(29=時津風)が敗れ、単独トップに。「相手によるが、とにかく精いっぱい取ること」と最後まで自分の相撲を貫くことを求めた。優勝争いの気負いなども「昨日までは感じたけど、今日は感じなかった。いい立ち合いで躍動感があった。吹っ切れたんじゃないかな」と、自然体で臨んでいることを察した。千秋楽、隠岐の海に勝てば初優勝が決まり、有利な状況ではあるが同理事長は「まだ1日ある」と予断は持たなかった。