日本相撲協会は27日、東京・両国国技館で春場所の番付編成会議を開き、貴健斗(25=常盤山)の新十両昇進を決めた。都内の部屋でリモートでの会見に臨んだ貴健斗は「喜びはあるけど、いつも通り平常心です」と、落ち着いた表情で関取の座をつかんだ心境を明かした。

14年初場所の初土俵から7年かかった。アマチュアでは高校相撲の強豪、鳥取城北高で3年時に主将を務めるなど活躍。序ノ口デビューから所要4場所で新幕下昇進を果たすなど期待されたが、幕下上位で停滞する期間が長かった。「精神的に未熟だったので時間がかかった。(性格的に)ネガティブなところもあったので…」。転機は2年前、同部屋の大関貴景勝からの言葉だったという。「『(新十両昇進を)2年と決めてやらないと、膝のけがもあるし、分からなくなるぞ』と。目標を立てていけと言われて、覚悟を決めた」。

東幕下38枚目だった昨年初場所から6場所連続の勝ち越しで新十両を射止めた。会見に同席した師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)も「関取衆(貴景勝、関脇隆の勝、十両貴源治)に胸を出されて、ぶつかりで泥だらけになっていた。押し相撲は(ぶつかりが)特に大事」と振り返る。旧貴乃花部屋付きの親方として、「水田」のしこ名の時から貴健斗を見ていた同親方は「入ったときから真面目。コツコツとやっていた」と、柔和な笑顔を見せた。

丸太のような太ももが支える突き押し相撲が武器。「(太ももは)2、3年前に測ったときは80センチくらいだった。今はもうちょっと大きくなっているかも」。旧貴乃花部屋の時に先代師匠の貴乃花親方(元横綱)から突き押しに徹するように指導を受け、地道に磨いてきた。

同時昇進を決めた藤島部屋の武将山は同学年の同期生で「ライバルというより戦友。苦手な相手ではあるので、十両では借りを返したい」と意気込む。初めての15日間。「まずは十両で勝ち越すこと。できるだけ早く幕内に上がりたい」と次の目標を設定した。