日本相撲協会が、コンプライアンス違反の疑いがある時津風親方(47=元前頭時津海)への調査を始めていたことが27日、分かった。初場所中にマージャン店に出入りするなど、協会作成の新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反した同親方に対し、26日に聴取していた。同親方は日刊スポーツの取材に対し、雀荘を訪れたことは認めたが、マージャンを打っていないと否定した。

時津風親方は27日、当社の電話取材に応じた。

-初場所中、マージャン店に出入りしていたか

時津風 チケットを届けに行ったりはしたけどね。どっからそういう情報が出たの?

-雀荘に行って、マージャンはしなかったのか

時津風 マージャンはしてないよ。

-マージャンをしていないなら、協会にもそう言った方がいいのでは

時津風 言いましたよ。昨日、協会で聞かれたので言いました。

-場所中、風俗店に行っていたとの情報もある

行ってない。マッサージには行ってた。

時津風親方によると、26日のうちに協会に呼び出された。ガイドライン違反の真偽を聞かれ、否定した。だが複数の関係者によれば、初場所中に限らず、雀荘に出入りしていたという。

平時なら問題のない行動だが、日本相撲協会は昨年から新型コロナウイルス対策のガイドラインを作成し、不要不急の外出を禁じている。協会員の感染は本場所の中止にもつながりかねないため、力士、親方らは細心の注意を払ってきた。後援者らへのチケット受け渡しも対面でなく、郵送に切り替えた親方も多い。ウイルスを持ち込めば、優勝争いをしていた弟子の正代ら力士の健康面にも影響しかねなかった。

時津風親方は昨年9月、友人と宮城県に旅行してゴルフコンペに参加。ガイドライン違反となり、「委員」から「年寄」への2階級降格処分を協会から科されていた。この経緯があるため、今回のようなマージャン店に行きながらマージャンをしていないという説明について「そんなの通じるわけない」と指摘する親方もいる。

日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「調査はするという話を聞いた」としながら、コンプライアンス委員会による調査については「コンプライアンス(委員会)の事案になるのかどうか、本人がどこまで、認めたのかどうか、ということもあるから」と慎重に話した。感染予防対策はどこまで本気なのか。協会の組織力が問われる問題に直面した。

◆今後どうなる まずは日本相撲協会のコンプライアンス委員会(青柳隆三委員長=弁護士)が事実関係を調査する見通し。時津風親方には弁明の機会も与えられる。コンプラ委は検討した処分案を日本相撲協会理事会に答申。これを受けて理事会が処分を決める。協会員への処分は軽い順にけん責、報酬減額、出場停止、業務停止(協会事業への従事を停止)、降格、引退勧告、解雇の7項目。

◆時津風正博(ときつかぜ・まさひろ)本名は坂本正博。元前頭時津海で、最高位は東前頭3枚目。1973年(昭48)11月8日、長崎県五島市生まれ。東農大を卒業後、96年春場所で幕下付け出しデビュー。翌97年夏場所で新十両。98年秋場所新入幕。幕内在位50場所で幕内通算322勝385敗43休場。07年秋場所後、序ノ口力士暴行死事件発覚で、当時の師匠が日本相撲協会を解雇。現役引退し、時津風部屋を継承した。