大相撲春場所(3月14日初日、東京・両国国技館)で再起を目指す横綱鶴竜(35=陸奥)が20日、東京・両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古に参加して、小結御嶽海を指名して三番稽古を行い、16番を取って全勝した。進退が懸かる春場所に向けて、4場所連続休場中の横綱が存在感を示した。

頭で当たって前みつを引いて前に出る形が多く、一方的な展開が目立った。三役常連の相手を指名した理由については「なるべく(過去に)肌を合わせた相手とやりたいと思った」と説明。初場所前の前回の合同稽古では相撲を取らずに実戦を回避したが、今回は初日から調整のペースを上げた。「まず初日なのでここから順調にやっていきたい。今日の時点では悪くなかった」と振り返った。

昨年11月場所後に横綱審議委員会(横審)から「注意」の決議を下され、初場所では好成績が求められたが、持病の腰痛などを理由に4場所連続で休場した。師匠の陸奥親方(元大関霧島)は、鶴竜の休場が決まった初場所直前の電話取材で「本人しか分からないからどうこう言えないけど『次はないよ』ということ」と春場所で進退を懸ける立場にあるとの認識を示し、鶴竜自身も「来場所、引退かけて、1日でも早く稽古できる体をつくって頑張ります」と意気込んでいたことを明かしていた。

鶴竜はこの日の合同稽古後、腰の状態について「ここまで順調に来ている」とアピール。残り5日間の合同稽古も“皆勤”する予定で「前回(昨年12月)は関取衆も少なかったし、これから減ったりするとどうなるか分かりませんけど、なるべく今場所で当たる相手とやっていきたい。土俵に入って稽古していきたい」と意欲的に話した。

この日の合同稽古は鶴竜や御嶽海のほかには大関朝乃山、小結高安、前頭阿武咲、明生、霧馬山、逸ノ城、豊昇龍、十両石浦、錦木、王鵬の計12人の関取が参加した。横綱白鵬、前頭若隆景、十両若元春は途中から参加する予定。