大関朝乃山(27=高砂)が16日、大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)に向けた朝稽古後、報道対応した。四股などの準備運動後、幕下の3人と22番(20勝)取った。

念願の大関初優勝(通算なら2回目)で常々、口にしている「もう1つ上の番付」=横綱を目指したい朝乃山にとって、大きな壁として立ちはだかるのが、大関復帰を果たした照ノ富士(29=伊勢ケ浜)の存在。昨年春場所後、大関昇進を決め、夏場所は新型コロナウイルスの影響を受け中止。大関デビューは7月場所だった。その時、再入幕の照ノ富士は奇跡のカムバック優勝を果たした。その7月場所13日目に寄り切りで敗れたのが初対戦。以来、先場所まで5連敗と反攻の糸口が見えない。

これまでの敗戦パターンを「(体が)一回り大きい。胸を合わせたら、技術で半身にさせられて、力を出せないまま負けることが多い」と分析した。以前に出稽古で一緒になった際には「右四つのことを教えてくださった」と朝乃山らしく答えたが、わずか1年で大関と十両の番付を追いつかれ、横綱を目指す上でのスタートラインも並ばれた。綱とりに後れを取るわけにはいかない。

当然のことながら、1場所(本割)で対戦するのは1回だけ。誰に負けても1敗は1敗だが“天敵”を破り、自信回復となれば、精神的影響を含め自分の相撲に、より自信を持てる。乗り越えなければならない「山」を、どう乗り切るか。朝乃山の真価が問われる夏場所になる。