「業師」が幕内の土俵に帰ってくる。西十両2枚目の宇良(29=木瀬)が、琴勝峰を技ありの肩すかしで十両優勝争いトップの6勝目をあげた。8日目は幕内で魁聖との対戦が組まれた。幕内での相撲は17年秋場所以来約4年ぶり。両膝の大けがで序二段まで落ちながら見事にはい上がってきた。大関照ノ富士が7戦全勝。1敗も大関貴景勝1人となった。

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宇良は取組前に翌日の“大一番”を知った。中入りに組まれた割りを目にして「思わず声が出ましたね。びっくりした」。17年秋場所以来、約4年ぶりとなる幕内の土俵。巨漢の魁聖との一番に「思い切って勝負できれば」と早くも気合をみなぎらせた。

両膝の大けがで地獄を味わった。19年九州場所、西序二段106枚目からの再出発で8場所連続の勝ち越し。ついに「元の場所」を取り戻した。この日も、幕内上位を経験した琴勝峰を相手に右をのぞかせ、絶妙のタイミングで引きながらの肩すかしを決めた。6勝1敗は十両のトップタイ。勢いも得て幕内に挑む。

「調子は出てきたと思う。(今場所は)めちゃ長いですね。やっと半分。ちょっと信じられないですね。時の流れが遅く感じますね」というのも好調の証か。“時を戻そう”とばかり、宇良が4年もの時間を取り戻す。【実藤健一】