照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、昭和以降では初めてとなる大関復帰場所での優勝を果たした。優勝に王手をかけた千秋楽の結びで大関貴景勝に敗れ、12勝3敗と並ばれた。しかし。貴景勝との決定戦を制して、2場所連続4度目の優勝を決めた。

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貴景勝が大関の意地で最後まで優勝争いを盛り上げた。本割で照ノ富士を突き落とし、優勝決定戦に持ち込んだ。13日目終了時点での2差から史上初の大逆転こそならなかったが、大関の責務を十分に果たした。

千秋楽の協会あいさつ、八角理事長(元横綱北勝海)は「違反行為により大関の休場はまことに遺憾でございますが」と大関朝乃山の休場を謝罪した。NHKで解説を務めた元横綱の北の富士氏は「最後は大関の決戦でよかった」と話し、伊勢ケ浜審判部長も「大関が頑張ってこういう展開になった」と粘りをたたえた。

昨年11月場所とは逆の展開になった。トップを走っていた貴景勝が千秋楽に追いつかれ、優勝決定戦で下して賜杯を手にした。今場所は本割で勝って追いつき優勝決定戦で敗れた。持てる力は出し尽くした。

今場所のキーワードは「集中」だった。「集中していった」「1日集中してやるだけ」「明日も集中」と何度も繰り出した。その言葉が千秋楽、本割の一番に集約された。

今場所の出場力士の番付上、最高位でありながら朝乃山の休場で大関陣は厳しい目を向けられた。その中で2大関が優勝を争う形で終えられた。貴景勝は「大関」の看板を守った。【実藤健一】