日本相撲協会は11日、都内で臨時理事会を開き、協会作成の新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反した大関朝乃山(27=高砂)に出場停止6場所と6カ月50%の報酬減額の懲戒処分を下した。

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緊急事態宣言中にも関わらずキャバクラ通いをし、協会の調査に虚偽報告した朝乃山の罪は重い。しかし、今回の事態が起きた背景には、問題ある部屋の在り方が関係していると思う。

コンプライアンス委員会の調査で、先代師匠の錦島親方が部屋に住み、現師匠の高砂親方が部屋から徒歩数分の自宅マンションから通っていることが判明した。本来は師匠が部屋に住み、ともに生活する弟子らを監督するのが務め。しかし、先代師匠の定年に伴い昨年11月に名跡を交換したが、部屋には先代師匠が住み続けた。錦島親方は師匠から退いて部屋付き親方になったことで、部屋の運営や弟子らへの口出しはしなくなったという。

また、不要不急の外出禁止期間中に、錦島親方が朝乃山らの弟子を会食に同席させていたこともあった。師匠の高砂親方が自宅から通っていたことなどもあり、これでは弟子らの気も緩み、外出禁止措置に対する意識もまひしてしまう。結果、朝乃山のキャバクラ通いに発展してしまったのではないだろうか。錦島親方は協会を退職したが、朝乃山には再起の機会を与えられた。名門の名に恥じぬよう、師弟ともに心を入れ替えて欲しい。【佐々木隆史】