日本相撲協会は11日、都内で臨時理事会を開き、協会作成の新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反した大関朝乃山(27=高砂)に出場停止6場所と6カ月50%の報酬減額の懲戒処分を下した。また、部屋付き親方で昨年12月まで師匠を務めた先代高砂親方の錦島親方(65=元大関朝潮)にもガイドライン違反があったとし、提出されていた退職届を10日に受理したことも発表した。

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錦島親方の事案発覚は朝乃山への聴取の際、外食をともにしていたことが判明し、尾車コンプライアンス部長(元大関琴風)が事実関係を確認して分かった。既に1日には退職願を提出。コンプライアンス委員会は「報酬減額の懲戒処分とすることが相当」と処分意見を出したが前日10日の面談で受理され協会処分はなかった。

同委員会の調査によると錦島親方は昨年7月から今年3月までの各本場所(昨年9月を除く)13日目に、知人と飲食を伴う会食を付け人同席で行い、昨年末には家族らとの会食に朝乃山も同席させた。それ以外でも週に数日、付け人を同席させ、部屋近隣の店で飲食していたという。

同委員会は外出禁止に背いたことは「あまりにも無責任かつ無自覚な言動は言語道断。指導者としての資質が欠けているといっても過言ではない」と断じた。また、師匠交代後も住居を移さなかったことも「その点においても責任重大というべきである」と踏み込んだ。錦島親方は今夏までには自宅を部屋から引き払うという。「守らなければいけない決まり事を守らなかったのは申し訳ない」と錦島親方は、関係者に謝罪した。

◆錦島末弘(にしきじま・すえひろ)本名・長岡末弘。1955年(昭30)12月9日、高知県室戸市生まれ。近大3、4年時にアマと学生の横綱2冠を獲得。78年春場所、幕下付け出し初土俵。同年名古屋場所で新十両、同年九州場所で新入幕。80年夏場所で新三役、3年後の83年夏場所で新大関に昇進した。85年春場所で初優勝。89年春場所5日目に引退した。突き、押しと左四つからの寄りを得意に通算564勝382敗33休。優勝1回、三賞は14回(殊勲賞10回、敢闘賞3回、技能賞1回)。金星は5個。年寄山響襲名後、90年3月に若松襲名で若松部屋を継承。02年2月に先代と名跡交換して高砂を襲名し現在の部屋に。00年2月から4期(8年)で日本相撲協会の理事を務めた。

◆高砂部屋 1871年(明4)3月、初代「高砂浦五郎」の山崎伊之助(元前頭高見山)が部屋を興した。師匠は代々「高砂浦五郎」を名乗る。元大関朝潮の長岡末弘は02年2月に7代目として継承。昨年12月に7代目が65歳となり協会の定年を迎えて、前錦島の元関脇朝赤龍と名跡を交換して部屋を継承した。元横綱朝青龍ら計7人の横綱、15人の大関が誕生。