進退を懸けて土俵に上がる横綱白鵬(36=宮城野)が、初日から5連勝とした。体重200キロの巨漢、平幕の逸ノ城に技ありの寄り切りで完勝。6場所連続休場明けなどの不安を吹き飛ばす序盤戦となった。平幕で唯一、無傷だった玉鷲に土がつき、全勝は綱とりに挑む大関照ノ富士との2人だけとなった。

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白鵬のうまさが光った。立ち合いは2度、逸ノ城につっかけられたが、3度目の立ち合いは力強く踏み込んだ。右を差し、左上手を与えたが慌てない。下がりながら、左を巻き替えしてもろ差し。そして、つかんでいた右下手を一瞬外し、右肘を張って逸ノ城の左上手を切った。上体が起き上がり、何もできなくなった巨漢を一気に土俵外へ。「立ち合いは安易に立って不利な体勢になったけど何とかうまさで対応できた」と自画自賛。そして「それが全てだったと思う」と、流れるような巻き替えと逸ノ城の上手を切った動きが勝因だった。

最重量関取を下して、序盤戦を無傷で終えた。3月中旬の右膝手術の影響はあまり感じさせず、日に日に安定感は増している。6場所連続休場明けの不安も「(今日も)前に出られたし、少しずつ上がってきている。よくなってきた感じがする」と話すなど、もはやなさそうだ。初日からの5連勝は、照ノ富士との2人だけとなったが気にしない。「1日1日、精いっぱい頑張るだけ。また明日」と軽快な口調で話し、さっそうと会場を後にした。【佐々木隆史】