土つかずの14連勝で、大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜)との千秋楽全勝対決に持ち込んだ横綱白鵬(36=宮城野)の一番に、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)が苦言を呈した。

大関正代(29=時津風)との一番で白鵬は、徳俵付近まで下がって構え、そのまま立った。にじり寄るような立ち合いで、正代と突き押しの応酬。しばらくすると土俵中央で再び、両者の動きが止まり見合う形に。タイミングを見計らって右を差し、左上手を引いて正代をつかまえると、寄り立てて浴びせ倒した。

館内に、どよめきが起きた一番に、八角理事長は注文を付けた。「ふつう奇襲は弱い方がやるもんだけど、勝ちたかったんでしょうけど、これだけ優勝回数をしている横綱が、ああいうことをしてはいけない。堂々と来いと」。本来、ドンと受けて立つ立場の横綱が見せた奇襲に苦言を呈した。何とか白鵬の胸中を「感覚的に嫌なものがあったんだろうと思うけど」と察したものの、協会トップとしての苦汁のコメントだった。

その一番前に照ノ富士が関脇高安(30=田子ノ浦)に勝った後には、千秋楽結びの一番を占い「がっぷりの相撲を見てみたい」と期待を寄せていた。