かど番の大関貴景勝(25=常盤山)が陥落の危機に直面した。小結逸ノ城に上手投げで敗れて、初日から3連敗を喫した。先場所2日目に首を痛めて途中休場し、負け越せば2度目の大関陥落となる今場所。患部の状態について場所前から万全を強調しているが、本来の突き押し相撲の威力を発揮できず、苦しい展開が続く。新横綱の照ノ富士は危なげなく初日から3連勝とした。

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貴景勝の試練が続いている。自身4度目のかど番となる場所だが、3日目を終えても初日が出ない。「一生懸命やって負けたら弱いだけ。もちろん勝てるように日々やってるけど、そう簡単にいかない」。不振の現状を受け止めた。

立ち合いの激しいぶちかましが持ち味だが、この日はもろ手突きを選択した。取組後に「まわしを取られないように」と狙いを説明したが、圧力は不十分。押し込まれて1度距離を取り、不得意の四つ身で前に出たが、土俵際で逸ノ城の上手投げに屈した。

土俵下で取組を見守った幕内後半戦の伊勢ケ浜審判長(元横綱旭富士)は「立ち合いの圧力がない。前さばきも遅い。自分の相撲を取り切れていない」と、状態の悪さを指摘した。出足の鋭さを欠く相撲内容。貴景勝も「(圧力が)負けてるということは、そうですね」と淡々と認めた。先場所2日目に立ち合いの衝撃で首を負傷し、3日目から休場。「頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアによる神経根症」で、相撲を取る稽古を再開したのは約2カ月後の先月下旬だったという。

今場所直前には「もう治ってるし、ケガはもう関係ない。首のケガなんて別に今に始まったことじゃない」と、万全で臨んでいることを強調していたが、現状は厳しい。19年秋場所以来2度目の大関陥落は避けたいところ。「今日もしっかり準備してきたが、明日も準備するだけ」。まず初日を出して、復調の兆しをつかみたい。【佐藤礼征】