ただ1人、逆転優勝の権利を持って千秋楽に臨んだ西前頭10枚目の妙義龍(34=境川)だが、初Vの夢はかなわなかった。明生の肩すかしにばったり土俵にはった。その瞬間に横綱の優勝が決まったが、紅潮した表情にはむしろ満足感が上回った。

「こういう緊張感の中でとれたのはよかった。(千秋楽まで優勝争いは)初めてだったし緊張はあった。いろいろ考えもしたが、精いっぱいやった結果です」

横綱以外の上位陣がふがいない中、11勝4敗の好成績で自身6度目の技能賞を獲得した。三賞受賞は13年夏場所以来49場所ぶり。出島の47場所を抜いて3番目に長い受賞間隔となった。場所前、連合稽古に初参加。「たくさん稽古相手がいて、新鮮な環境で稽古して、そのまま場所に入ることができた」。衰えない向上心が、活躍につながった。

幕内上位復帰は確実。来場所は35歳で迎えるが「まだまだやれると分かった。しっかり体のケアをして来場所に備えます」と意欲をたぎらせた。【実藤健一】

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