優勝争いで1差で追う平幕の妙義龍(34=境川)が敗れ、土俵に上がる前に照ノ富士(29=伊勢ケ浜)の新横綱Vが決まった。場所を締める千秋楽結びの一番も、大関正代(29=時津風)をアッサリと寄り切りで破り、有終の美を飾る13勝目を挙げた。

報道陣の電話取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、妙義龍が敗れ優勝決定の直後に「立派な横綱、横綱相撲だった。8連勝して堂々としたもの。ここ2、3日は膝に力が入っていない気がしたけど、両大関が序盤からふがいない中、柱としてよくやってくれた。(横綱を)1場所やって優勝したことは大きい。自信にもなるし来場所はまた、落ち着いた相撲を取れるでしょう」と評した。

圧倒的な強さでねじ伏せた正代との一番の後にも「余裕があった。正代が出てくるのは分かった上でガッチリと受け止めて、押させない、(土俵際の)いなしに気をつければ、というところだったろう。新横綱としても横綱としても立派な場所だった」と満点の評価をした。

先場所優勝の白鵬(36=宮城野)休場で迎えた新横綱場所。ましてや大関や三役の上位陣が、優勝争いに加われなかっただけに、余計に存在感を示した照ノ富士に「2横綱が1横綱になって(ましてや横綱の重責で)プレッシャーもあっただろう。(そんな中で連日)最後に相撲を取って土俵を締めてくれたのは大きい」と、横綱としての重責を務め上げたことに、協会トップとしても称賛の言葉を惜しまなかった。

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