大相撲秋場所でかど番を脱出した大関貴景勝(25=常盤山)が28日、初日から3連敗を喫しながら巻き返した同場所中の心境を振り返った。都内の部屋での稽古後、報道陣の代表取材に応じ「大関から陥落するということは、大関の能力がないから落ちるだけなので。そこに怖がる必要はないかなと思っていました」と話した。

7月の名古屋場所で首を負傷して休場し、調整遅れも懸念された。前半戦で4敗する苦しい場所だったが「自分の中ではそんなに…。1日やりきるだけといういつものことをやっていただけだから、周りが言うほど自分の中では、という感じでした。その日に向かって一生懸命やるしかできないので」と、気持ちはぶれなかったという。7日目から破竹の6連勝で、12日目に勝ち越しを決めた。「(勝ち越しは)一応節目という気持ちはあったけど、8番では満足できないので。8勝を節目にしたらダメ。そういう意味では、先場所は良くなかった」と貴景勝。大関として優勝争いに絡めなかった悔しさをにじませた。

1年納めの九州場所(11月14日初日、福岡国際センター)に向けてこの日は、四股やすり足などの基礎運動や、立ち合いの確認を入念に行った。来場所は2年ぶりの九州開催。「九州は飯もおいしいし、初めて序ノ口で番付載ったのも九州。いろいろいい経験、勉強もさせてもらった場所なので。どうなるか分からないけど、しっかり身体と相談しながら準備をしていきたい」と気持ちを高めた。

先月30日に間垣親方(元横綱白鵬)が現役を引退した。初顔合わせだった17年名古屋場所は、今でも鮮明に覚えているという。攻防の中で互いに距離が生まれ、貴景勝は両手を広げて構える白鵬にぶつかっていったものの、最後は左四つに組み止められて寄り切られた。「徹底して差させないように相撲取っていましたね。まわしを嫌がって距離を取ってただけだから、ああやって攻防のように見えるけど、俺は何一つ焦りを与えられなかった」。

初優勝した翌場所の19年初場所で初勝利を挙げたが「自分が優勝して(次の場所で)勢いもあっただろうし、横綱が本調子じゃなかったかもしれないし。調子いい悪いもあるので。いろんなことが重なったんだろうなと」と謙虚に振り返った。