大関貴景勝(25=常盤山)が東前頭5枚目高安を送り出しで下し、1敗を守った。昨年11月場所以来3度目の優勝に向け、全勝の横綱照ノ富士を追いかける残り3日間。13日目は、1敗同士で再入幕の阿炎との一番が組まれた。過去2勝2敗と五分で、ここまで好調な相手を下し、優勝争いへ弾みをつけたい。

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貴景勝が大関の強さを見せた。立ち合いで、高安から右の張り手を受けたが動じずに前へ。組まれそうになったが力強く突き放し、強烈な左の張り手を浴びせた。休むことなく突いて出る。左の張り手が空振りとなり、後ろ向きになった相手を送り出した。「相手(のこと)よりも、自分が何をするかを考えていた。稽古場でやってきたことをやるだけなので」と堂々としていた。

優勝争いは全勝の照ノ富士、同じ1敗の阿炎と3人に絞られつつある。その阿炎と13日目に対戦する。通常であれば、大関が幕内下位の力士と対戦することはないが、審判部の判断で好調の阿炎との一番が組まれた。割崩しにも、「しっかり準備してやるだけ」と淡々と話した。幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)は「どんな相撲になるか楽しみ。勝った方が勢いがつくのではないか」と話す。優勝争いを左右しそうな、大きな一番になる。

阿炎とは過去2戦2敗と五分で、最後の対戦となった昨年春場所は敗れた。ともに突き押しを得意とし、熱戦が期待される。貴景勝は「普通にやるだけです」と静かに闘志を燃やす。勝って、逆転優勝へ望みをつなぐ。【佐々木隆史】

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