横綱照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、新横綱から2場所連続の優勝を決めた。1敗で追走する平幕の阿炎との直接対決を制して、初日から無傷の14連勝。14年の白鵬以来となる年間4回目(白鵬は5回)の優勝で、年6場所制が定着した1958年以降、新横綱場所からの連覇は62年初場所の大鵬以来59年ぶり2人目となった。

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照ノ富士が所属する伊勢ケ浜部屋に頼もしい“応援団”がいる。同部屋は太宰府天満宮内に宿舎を構えており、宮内の「太宰府幼稚園」で「ちびっ子相撲大会」を行い、園児と交流するのが毎年恒例。コロナ禍で昨年から2年連続で触れ合えていないが、園舎には「たっくさん勝ってね」と書かれた横断幕が掲げられ、同部屋に所属する全協会員の名前が書かれた幟も立っている。字は宮司兼同園職員がしたためているが「ここから応援してるよという意味で」と同園主任の水口(みなくち)久実さん。東京開催だった昨年も設置して、遠方から活躍を願った。

伊勢ケ浜部屋との交流は30年近いという。相撲大会では約150人の全園児が参加。水口さんは「お相撲さんと遊ぶのは子どもたちにとってもかけがえのない思い出になる」とうれしそうに語る。雨などで外で遊べない日は、テレビの衛星放送で幕下以下の取組を観戦することもある。「子どもたちも若い衆の皆さんの名前を結構覚えているんです」。

照ノ富士は特にサービス精神旺盛で、子どもたちにも人気だったという。「卒園した子は、大関に昇進してケガして…というのも全部知っている。みんなで応援してます」。過去5回の優勝はいずれも東京場所で、照ノ富士にとって初めての地方場所での優勝。コロナ禍で直接の声援は送れないが、子どもたちの励ましが届いたかもしれない。【佐藤礼征】