横綱照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、千秋楽を待たずして新横綱から2場所連続の優勝を決めた。

快進撃を続ける西前頭15枚目の阿炎(27=錣山)の突き押しに、向正面の俵に両足がかかる窮地に立たされたが、冷静に対応。右足を、阿炎の左足内側を払うようにはね上げて残すと、押し切れないと思ったか、阿炎はたまらず引いてしまった。バランスを崩し体重が後ろにかかってしまった阿炎を押し倒し、勝負を決めた。

今場所、最も注目された相撲と言っていいほどの好一番に、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「最後(阿炎が)引いてしまったな」と切り出した後、間を置かずに「でも、いい相撲だった」と、今場所を引っ張ってきた両者をたたえた。照ノ富士の優勝についての評価を聞かれると「立派ですよ、本当に。堂々と受けて横綱相撲。慌てなかった」とほめた。横綱2場所目、さらに番付上でも一人横綱として重責を果たした照ノ富士に「初めて今日、危ない相撲だったが、堂々としていた。一人横綱で大変なところ、よくやったと思う」と再度、称賛の言葉を贈った。千秋楽も結びの一番で、今年の大相撲最後の相撲を取る。「今年一年を締めてほしいですね」の言葉で締めた。