御嶽海の立ち合いは決して良くはなく立ち遅れています。それでも常に前傾姿勢を保ち、霧馬山をよく見て正対していたから反撃できました。引いた動きもありましたが、バランスを崩したのが霧馬山の方だったのは、御嶽海が正対して腰を落としていたからこそ。この相撲を含め5日間、全体的に落ち着いた相撲を取っています。さすがに、ここらあたりで負けるのかなとも想定していましたが、どうしちゃったのかな、とビックリするぐらい相撲が安定しています。評論として取り上げる私としても土俵際、大丈夫かなと不安でしたが、それも御嶽海の面白さ、魅力の1つと割り切っています。

そろそろ大関が見えてきて、ここで期待を裏切るのはまずい、という気持ちが生まれているかもしれません。ただ私が望むのは、全勝とか優勝とかではなく、3場所33勝以上をクリアすることです。安定した数字を出し、ムラをなくすというアピールにもなるでしょう。あとは負け方にしても一生懸命に力を使い果たすことを求めたいです。そうなれば内容の評価も良くなります。この世界、大関はNO・1ではありません。御嶽海には横綱を目指してほしいからこそ、総合的なレベルアップに期待しています。(元横綱若乃花 花田虎上・日刊スポーツ評論家)