唯一の勝ちっ放しの関脇御嶽海(29=出羽海)が、小結大栄翔を押し出しで下して、勝ち越しを決めた。8日目での勝ち越しは、初優勝を果たした18年名古屋場所以来。まずは大関とりの足固めとなる2桁白星に向けて、勝負の残り7日間に挑む。3場所連続優勝を狙う横綱照ノ富士は1敗を守り、平幕の阿炎は2敗に後退した。

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御嶽海の勢いが止まらない。大栄翔ののど輪を何発受けても引かずに耐えた。「絶対に押されるし、我慢しながら勝機を見つけていくしかない」。すると、たまらず大栄翔が引く。隙を見逃さず前に出て、土俵際で回り込もうとする相手にしっかりとついていき、押し出した。「いい一番だった。しっかり体が動いている」と手応えを口にした。

大関とりの足固めを狙う今場所を、最高の形で折り返した。「負けない気持ちをしっかり持てている。最高だと思います」と話すほどに調子がいい。昨年11月の九州場所で11勝を挙げ、今場所も2桁白星を挙げればガッチリ足固めできる。残り7日間で横綱、大関、関脇との対戦を控えているだけに「明日からいろんな意味でしっかりと切り替えて白星をつなげる」と引き締めた。

白星を積み上げるごとに、緊張感も高まっている。大関とりの足固めに加え、優勝争いで単独首位。2度の優勝経験はあるが、「勝っている時はいつも短く感じるけど、今場所は長く感じる」という。そんな時は付け人とのひとときを楽しむ。「考えないように、ひたすら付け人と話をしています。適当に」とメリハリをつけて臨んでいる。

大関昇進を預かる審判部の伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は場所前、仮に全勝優勝なら、大関昇進の機運が高まるとの可能性も示唆している。ただ、あくまで結果論。「自分の相撲を取ることだけを考えて」と話すように、今は目の前の一番にだけ集中する。【佐々木隆史】

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