大相撲初場所で3度目の優勝を果たし、事実上の大関昇進を決めた関脇御嶽海(29=出羽海)が24日、都内の部屋で、優勝一夜明け会見を行った。

理想像について「フランクな大関」と明かすなど、御嶽海らしい発言を連発。26日の臨時理事会、春場所の番付編成会議を経て、出身の長野県では雷電以来227年ぶりの大関誕生となる。同県初となる横綱昇進にも意欲を見せた。

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御嶽海は笑顔で一夜明け会見に臨んだ。「寝れてはいるけど寝れていないような。フワフワしています」。前日に3度目の優勝を果たし、大関昇進の目安「三役で3場所33勝」にも到達。事実上の昇進が決定した。この日もまだ、夢見心地だった。

御嶽海らしさが言葉の随所に出た。理想の大関像を問われ「近寄れない大関と言われたいけど、僕の性格上はそれは無理。フランクな大関像でいきたいです」とちゃめっ気たっぷりに明かした。伝達式での口上を問われ「シンプルにいこうかなと。いろんな関取衆を見ていると、かみそうだなとか、声が裏返っている人もいるので。シンプルに」とあっけらかんと話した。人なつっこく明るい性格。同じ東洋大出身で陸上の桐生祥秀や競泳の萩野公介氏らとは食事に行く仲で、交友関係は角界だけにはとどまらない。

秘めるものはある。大関候補と呼ばれながらも、次々と先を越された。特に「正代関ですかね。一番悔しかったです」と同じ学生出身力士の正代に先を越されたことで気合が入ったという。昨年12月に29歳の誕生日を迎え「20代も最後。ここで取らないと、と思った。いつも以上に気を引き締めていた」と初場所には並々ならぬ思いを持って臨んでいた。

26日の臨時理事会、春場所の番付編成会議を経て、正式に大関御嶽海が誕生する。出身の長野県では、天下無双とされた江戸時代の強豪力士・雷電以来、227年ぶりの地位。「相撲を知らない方にも雷電の名前を知ってもらうのはすごくうれしい」と偉人に思いを巡らせた。地元のファンへの感謝を口にしつつ「もう1個上があるので、そこは狙わないといけない。もう少し待ってていただきたいです」と長野県初の横綱昇進も見据えた。【佐々木隆史】

<大関アラカルト>

◆安泰 69年名古屋場所からは2場所連続で負け越さない限り陥落せず、関脇に陥落しても翌場所10勝以上で復帰可。

◆月給 横綱の300万円に次ぐ250万円。三役(関脇、小結)より70万円増。

◆待遇 海外渡航はファーストクラス。新幹線はグリーン席。車での場所入りは地下駐車場まで乗り入れ可。化粧まわしも関脇以下では禁じられている紫色が使える。

◆引退後 協会に残るためには年寄名跡が必要だが、元大関は現役のしこ名で3年間、年寄として協会に残ることができ、日本国籍取得者は委員待遇として「年寄」の上位に置かれる。