日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)の定例会合が、大相撲初場所千秋楽から一夜明けた24日、東京・両国国技館で開かれた。矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)が報道陣の代表取材に応じ、各委員の声も含め初場所を総括した。

3度目の優勝を果たし事実上の大関昇進を決めた関脇御嶽海(29=出羽海)について「相撲界に新しい風が吹いてくる。ぜひ今後に期待したい」と話した。これまでの印象は「はたから見ると、むらっけがあり、いい時はいいが悪いときはバタバタしていたのが先場所、今場所と本人の中で大きな変化があったのか(それがなくなり)大変いいこと。大関は看板ですから活躍してほしい。御嶽海が大関になれば大きな刺激になり活気をもたらす。今の気持ちで頑張ってほしい」と期待を寄せた。

対照的に、ケガで途中休場した貴景勝(25=常盤山)と負け越した正代(30=時津風)の両大関は来場所、そろってかど番となる。この2人については、御嶽海以外は負け越した役力士3人を含め「もうひと踏ん張りして捲土(けんど)重来を期してほしい。(特に)今の大関2人には、とにかく頑張ってほしいの一言。どこが足りないのか本人が一番分かっていると思う。鍛え直して次の場所、その次の場所に臨んでほしい」と注文した。

惜しくも3連覇を逃した横綱照ノ富士(30=伊勢ケ浜)については「傷を抱えながらも横綱になって全力挙げて相撲を取っている。みな等しく好印象を持って(照ノ富士の)相撲を見ている。強いだけではなく品格を備えた横綱」と、委員の一致した声として明かした。その一方で、膝の負傷を案じる声もあがり「(春場所までの)休みの間に体調を整えてほしい。何と言っても横綱、大関は看板(力士)。頑張ってほしい」とした。

若手の台頭にも言及。「若手の台頭が目立った場所で盛り上がった。三賞の阿炎、琴ノ若はじめ豊昇龍、若隆景といった力士が頑張った。幕下や十両も若手が台頭してとてもいいこと」と今後に明るい兆しを感じ取ったようだ。

なお、矢野委員長はこの日を最後に退任となり、後任には衆院議員を12期務め自民党副総裁や法務大臣、外務大臣などを歴任した政治家の高村正彦委員(79)が新しい委員長として就任することになった。