日本相撲協会は28日、大相撲春場所(3月13日、エディオンアリーナ大阪)の新番付を発表し、荒篤山(27=荒汐)の新入幕を決めた。都内の部屋でリモート形式の会見に出席。「正直うれしい。こんなに早く上がれるとは思わなかった」と心境を語った。09年秋場所が初土俵で、昨年名古屋場所で新十両昇進。関取昇進まで約12年かかったものの、十両通過は早かった。

荒汐部屋からは先場所の若元春以来、神奈川県からは19年春場所の友風以来で戦後10人目。会見に同席した師匠の荒汐親方(元前頭蒼国来)は「幕下時代は長かったけど、今は、この何年かは稽古場でも強くなろうと顔つきが違っている。彼はいま、相撲人生で一番楽しいんじゃないか」と、弟子の充実ぶりを察する。荒篤山自身も応えるように「一番楽しいです。稽古は楽しかったら強くなれないと思うので、親方に指導してもらいながらやっている」と感謝した。

同部屋で新関脇の若隆景が刺激になっている。「もっともっと上の方に、若隆景を追いかけたいですね」。年齢も近く、相撲で迷いが出れば相談に乗ってもらう存在。新十両の昨年名古屋場所で4勝11敗と負け越し、1場所で幕下から返り咲いた同年九州場所のこと。「寺井さん(荒篤山の本名)は押し相撲なので、立ち合いで思い切り当たることによって持っていけるから、そこだけ意識強く持って」と助言をもらった。「それを稽古場で意識するようになって、新入幕できたことにつながった」。身近なライバルとともに、幕内でも出世を目指す。