さすがの御嶽海も肩に力が入ってました。立ち合いも当たりきれず相手を見てフワッと当たりました。もう少し当たってほしかったと思いますが、それもこれも緊張していた証しです。

実は初場所後に、スポーツ番組に御嶽海と一緒に出演しましたが、今時の若い力士は違うな、さすがラテン系の明るさだなと感じました。その御嶽海も緊張で落ち着いて相撲が取れなかった。マイナスのようにとられますが、それでいいと思います。緊張したのは、大関という地位の重さを感じている証しですから。

自分の新大関のことを思い出すと1ケタ勝利ではいけない、大関の勝ち越しは10勝と思って、優勝決定戦より緊張した記憶があります。三役までは番付発表から待遇が変わりますが、横綱と大関は昇進の使者を迎えた日から待遇が変わります。その待遇を受けてから1カ月以上たって上がる新大関の土俵ですから当然、責任感も背負います。それが緊張になるんです。御嶽海がそれを感じて本来の相撲を取れなかったのは当然のことで初日なら、なおさらです。ただ、いつまでも緊張して自分の相撲が取れないのではいけません。緊張がほぐれ先場所のような御嶽海らしい力強さに期待したい。もう1つ上の番付があります。責任感を背負うチャレンジャーでいてほしいです。(元横綱若乃花 花田虎上・日刊スポーツ評論家)