角界初の東大出身力士となった須山(24=木瀬)が前相撲3日目に登場し、強豪日体大相撲部出身の今関(23=玉ノ井)を押し出しで下し、3連勝で一番出世を決めた。大学時代は対戦経験がなかったが、鋭い突っ張りで圧倒し「良かったです」と淡々とした表情で振り返った。序ノ口で番付にしこ名が載る次の名古屋場所へ向け「明日からまた稽古を頑張りたいです」と気を引き締めていた。

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師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)が、入門したばかりの須山に説く言葉がある。「普段からいつも言っているのは『朝起きて、歯を磨いて、まわしつけるまでが稽古だから』」。これまで歩んできた世界と大きく異なる世界。「慣れるまで半年かかると言っています」といい、奮闘する新弟子を温かく見守っている。

親方が伝えたいことは、長年大切にしてきた相撲道。「例えばあいさつの一つから見ても、今までとは違う。普段『おはようございます』とあいさつする際にも、手をついてしっかりする。座っているときには、しっかり手をついてあいさつする」と紹介。実家を離れて初めての集団生活をする須山を「一生懸命にやっている」とたたえた。

相撲については「今は『前に出ろ』としか言いません。他に言うことない。始まったばかりとはいえ、まだ体ができていない分、ケガだけが怖いからね」と気遣う。日本最難関大学とされる東大からの角界入り。周囲の注目度も高い上に、環境がガラリと変わると、疲れもたまってくる。日頃から顔を合わせていると変化にも敏感になる。「顔色を見たら、疲れていると分かる。無理させないようにしたい」。【平山連】

◆須山穂嵩(すやま・ほたか)1997年(平9)9月23日生まれ、埼玉県ふじみ野市出身。埼玉・市浦和高から1年浪人し、慶大に入学。バンドサークルに入る学生生活だったが、2年連続で受験していた東大への思いを捨て切れず、大学1年の冬に3度目の挑戦で合格。東大入学後、相撲部の見学に行ったことでのめり込む。現在は文学部哲学科に在籍。趣味は読書、散歩、キャンプ。180センチ、104キロ。