宇良が5連勝で勝ち越しを決め優勝争いに残りました。宇良の良さは15日間、全て違う攻め方をするところにあります。この日の碧山には、前回対戦(昨年九州場所)で肩透かしで勝っています。碧山とすれば宇良は何をしてくるか分からない、あの肩透かしの怖さもある、だからよく見て行こうとしたのでしょう。その逆をつくように宇良は、真っ向から当たってうまく入り一発で持っていきました。碧山からすれば、あっけにとられた感覚だったと思います。体格差を考えれば大きい人相手に負ける相撲でも宇良が勝てるのは15日間、工夫した立ち合いからバリエーションに富んだ攻め方ができるからです。

相手が思っていることを予想して、それを逆手に取る。「予想の勝利」とも言えます。それは見ているファンも同じで、どんな立ち合いをするのか、どんな攻め方をするのか予想する楽しみがある。だから宇良の相撲は楽しいんです。跳んだりはねたりするだけでは相撲を覚えられ十両に下がるだけですが、宇良はいろいろ考えて出来るから幕内上位を維持できます。数字上は優勝争いに残っていますが、それは考えずに、相手を悩ますような相撲で場所を盛り上げてほしいと思います。(元横綱若乃花 花田虎上・日刊スポーツ評論家)