大相撲の19年名古屋場所で現役引退した元関脇安美錦の安治川親方(43)の引退相撲が29日、東京・両国国技館で行われた。断髪式に参加した弟弟子の横綱照ノ富士(30=伊勢ケ浜)と堅く握手を交わしていたことについて、安治川親方は2つの感謝の気持ち込めて「ありがとう」とお礼の言葉を述べたと明かした。

1つ目の感謝は、今月の夏場所前に交わした約束を果たしたことだ。照ノ富士は「優勝して花を添えたい」と言って、見事に約束を守り3場所ぶり7度目の幕内優勝を飾った。もう一つはこの日「横綱綱締め実演」「横綱五人掛り」などさまざまな出し物に登場し、自身の引退相撲を盛り上げたことへの感謝。「いろいろ働かせましたから、頑張ったという『ありがとう』も込めました」と話した。

安治川親方の引退相撲は新型コロナウイルスの影響で2度の延期、現役引退から約3年が経過しての開催となった。延期を決めるたびに心が痛んだが、弟弟子が見せた姿を目に焼き付け「延びた甲斐があった」と喜びをかみしめていた。