大相撲の名古屋場所(7月10日初日、ドルフィンズアリーナ)で約1年ぶりに復帰する元大関朝乃山(28=高砂)が11日、都内の高砂部屋で朝稽古を行った。計24番の申し合いで、十両の朝乃若に対しては9勝3敗。本人の取材対応はなかったが、胸を合わせた朝乃若は「やっぱり大関経験者なので、全然歯が立たない。できたら幕内で一緒にやりたいです」と話した。

昨年5月の夏場所中の外出禁止期間中に飲食店へ通っていたことが発覚。ちょうど1年前に、新型コロナウイルス対策のガイドライン違反で、日本相撲協会から6場所の出場停止処分を受けていた。

師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)は「本当に大変な1年だったと思う」と愛弟子の胸の内を代弁した。処分から半年ほどはつらそうな様子だったが、徐々に復調してきたという。謹慎中には「自分の相撲を忘れるな」と伝えていたといい「本人が一番自覚していると思う。今から変わっているところが見える」と精神面の成長を期待した。

この1年間は大関経験者だからといって特別扱いはされなかった。部屋の掃除からちゃんこ番まで他の力士たちと同じように担当。この日の稽古にも幕下以下の力士が締める黒色のまわしで臨んだ。再起を誓う名古屋場所では三段目での復帰が濃厚となっている。高砂親方は「どんどん動きも良くなり、体も戻ってきている。名古屋場所から再出発してほしい」と願っていた。【平山連】