大相撲秋場所(11日初日、東京・両国国技館)まで、ちょうど10日となった1日、平幕の若元春(28=荒汐)が朝稽古に報道陣の取材に応じた。

この日は部屋の関取衆と16番の申し合い。弟の関脇若隆景(27)、東十両7枚目の荒篤山(28)を相手に14番取って5勝9敗。若隆景には8番取って1番も勝てず番付の差を見せつけられたかっこうだ。

弟に三役争いで先を越され、この日の稽古も「実力が違うっすよね。強いっす」と歯が立たなかったが、今年初場所の新入幕から存在感は示している。3場所連続9勝で番付を上げ、迎えた7月の名古屋場所は、初めての上位総当たり。6勝9敗とはね返されたが、5日目に大関初挑戦で正代を破り、8日目の照ノ富士戦では、2分を超えるまわし待ったの大熱戦の末、敗れはしたが幕内上位の力が十分にあることを示した。

その先場所を「すごく勉強になった場所なので、それをどれだけ生かせるか」と、ただの負け越しでは終わらせないつもりだ。番付は2枚下がったが、前半戦の活躍次第では再び上位戦の可能性がある。存在感があるが、と問われ「影みたいな力士なので、頑張ります」と若元春らしい言葉で応じたが、期待の力士の1人であることは間違いない。秋場所に向けて「(先場所は)あれだけ力を出せたので、今回はしっかり力を出して星を上げたいなと思っています。ずっと2ケタ勝ったことがないので、そこはずっと目標にしてしっかりやっていきます」と目標数値を隠すことなく設定した。

福島県出身の若元春は、先月28日にオンエアされた「24時間テレビ」(日本テレビ系)にゲスト出演した。「ああいう場所に呼んでもらえること自体がすごく光栄。もろもろ事情を抱えている人たちもいますし、そういう勉強、社会勉強じゃないですけど、こういう人も頑張っているんだな、自分も頑張らなきゃいけないんだなって気持ちの肥やしにもなりましたし、行って良かったと思います。僕も福島で3・11(東日本大震災)を経験しているんで」。弟の若隆景ともども、福島の復興の象徴としての期待も担いながら土俵に上がる。