東幕下28枚目勇磨(24=阿武松)が、大関経験者の東幕下15枚目朝乃山(28=高砂)を突き落としで破り白星を手にした。立ち合いから鋭く当たっていき土俵際に追い込まれても耐えて反撃に転じ、最後は左の突きで朝乃山に両手をつかせた。師匠の阿武松親方(元前頭大道)から「自分の持っている力を出してこい」と部屋を出る前に助言を送られ、見事その期待に応えた。

14年春場所で初土俵を踏み、最高位は21年初場所での西幕下10枚目。大阪・枚方市出身で中学卒業後に入門した、いわゆる「中卒たたき上げ」。膝の負傷で休場が続いて一時は番付外になる苦労を味わうも、復帰場所となった18年九州場所以降は着々と番付を上げてきた。ここまで3場所連続で勝ち越し。今場所前にはぶつかり稽古により一層励んで前に果敢に出る攻めを磨いてきた。大関経験者を相手にもひるまず、自分らしい相撲を貫いての白星。「自分に自信を持てる一番です」と興奮交じりに言って、残る1番に向けて気を引き締めていた。