西前頭4枚目の高安(32=田子ノ浦)がリベンジを果たし、優勝戦線に残った。今年春場所、優勝決定戦で敗れた関脇若隆景との「3敗対決」。高安は力強い突き放しから最後は引き落とし。玉鷲が敗れて2敗目となり、高安は1差に迫って残り3日。悲願の初優勝を狙う。北勝富士は大関貴景勝の立ち合い変化に屈して3敗目。優勝争いはさらに混迷を深めてきた。

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若隆景を引き落とした相撲には意地と執念が詰まっていた。高安は「思い切り踏み込んだのでよかったです。後手にならないようにいきました」と表情を変えずに言った。ただその言葉からは感情があふれた。

玉鷲が敗れて2敗に後退し、勝った方が1差に迫る一番。さらに高安には「借りを返す」思いがあった。「過去の対戦もありましたから思い切りいけた」。今年春場所千秋楽、12勝3敗で並んだ両者は優勝決定戦に臨んだ。高安が攻めながら逆転の上手出し投げに屈し、賜杯に届かなかった。

取組後、悔しさを押し殺して言葉を残した。「力足らずです。負けたということはまだまだ稽古が足りないということです。本当に勉強させていただきました」と言い、「もう1回優勝を目指します。この気持ちを忘れず、挑戦したいです」と目を赤く染めていた。

幕内在位は67場所目。大関昇進も果たした。まだかなえていないのが幕内最高優勝。ともに夢を現実にしたい家族がいる。場所前の8月には第2子が誕生。夫人が出産のため帰省している北海道へ、強行日程でも向かい、子どもを抱いた。今場所中も新たな家族の存在を「励みになります」と繰り返してきた。

ある意味、歴史的な大混戦の場所は残り3日。「勝負弱さ」も露呈してきた高安にとって正念場だ。「千秋楽まで気を引き締めて、盛り上げられたらよいです。落ち着いて相撲を取れるように心がけています。集中するだけですね」。悔しさを味わってきた経験だけはだれにも負けない。【実藤健一】

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