大関経験者の東幕下4枚目朝乃山(28=高砂)が、西十両12枚目徳勝龍(36=木瀬)を押し出しで破って、一番相撲からの4連勝で勝ち越しを決めた。立ち合いで右四つになれずにまわしは取れなかったが、鋭く踏み込んで圧力をかけた。徳勝龍に抵抗を許さず、一気に押し出した。「自分より重たい徳勝龍関なので、踏み込もうと思って前に出ることができた」と狙い通りの一番だった。

朝乃山は19年夏場所で、徳勝龍は20年初場所で幕内初優勝。十両の土俵で幕内優勝経験同士が対戦するのは史上初となった。「自分は幕下なのでそういうことは考えずに1日一番の意識でいきました」と目の前の一番に集中。徳勝龍とは幕内での対戦経験もあり「初顔で突き落としで負けた相撲を覚えていた」と土俵際での逆転に注意していた。

6場所出場停止明けとなった7月の名古屋場所以降、朝乃山が十両の土俵に上がったのは初めてとなった。大銀杏(おおいちょう)姿も19年夏場所以来9場所ぶり。「床山さんに結ってもらって、いろんな思いが込み上げてきた。去年の5月までは大銀杏で15日間取っていたことや、結ってもらっているときに身が引き締まる思いとか」と感慨深いものがあったという。

土俵に上がれば浸る思いも一度は忘れ、近大の先輩にあたる徳勝龍に厳しい相撲で勝利した。「今日は大銀杏で黒まわしだった。来場所は大銀杏で締め込みで15日間を戦いたいです」とはっきりと十両復帰を意識した。

無傷の4連勝で勝ち越しを決め、7戦全勝まで残り3勝と迫った。今場所は東幕下4枚目のため、6勝でも周囲の成績によっては十両復帰の可能性はあるが、狙うは十両復帰が確実となる7戦全勝。「勝ち越しはまだ通過点。まだ三番あるので1日一番自分の相撲を取り切るだけ」と引き締めた。