大相撲春場所(12日初日、エディオンアリーナ大阪)で関脇の若隆景(28=荒汐)が9日、大阪・堺市の大鳥大社にある部屋で稽古した。

およそ100人の見学者の前で、兄の小結若元春(29=同)、十両の荒篤山(28=同)と相撲を取り8勝3敗と力を見せた。昨年は同場所で初優勝を飾り「験がいい場所」という大阪の地で順調に調子を上げている。

代名詞の強烈なおっつけは健在。三番稽古では若元春の差し手を何度もふさいで、再三攻勢をかけていた。出稽古時に痛めた左わき腹付近も「大丈夫です」と強調。「毎場所やることは一緒なんで」と場所に向けてもう一段ギアを上げていくと話した。

東日本大震災から11日で12年。当時学法福島高1年だった若隆景は次男の若元春とともに、長男の若隆元が既に入門していた荒汐部屋に約1カ月身を寄せた。この日は多くを語らなかったが、「自分にできることはしっかり集中して場所に向かうことだけです」。その翌日に初日を迎える春場所での活躍から、再び故郷に吉報を届ける。【平山連】

○…東日本大震災から12年を迎えるのを前に、小結の若元春は「当時に比べたらだいぶ復興してきましたが、風評被害とか見えないところを挙げたら、まだまだキリがない」と冷静に受け止めた。続けて「まだまだもうひと踏ん張り、二踏ん張りしないといけない。僕らの相撲を見て、少しでも気持ちが和らいだり、活気づいてくれたら」と願った。この日は弟の若隆景と十両の荒篤山と計12番相撲を取るなどして調整。春場所に向けて「昨年はなんとか1年間幕内で相撲を取れたけど、三賞は取れなかった。2桁勝って三賞を取りたい」と意気込んだ。

○…十両の荒篤山は関取衆では最多の計16番と精力的に体を動かした。今場所の十両は先場所十両優勝した朝乃山、逸ノ城、栃ノ心、徳勝龍と4人の幕内優勝経験者が名を連ねる。より一層の注目が集まっているが、「当たったら、やることをやるだけです」と意に介さない。1日一番、しっかり白星を積み上げる。