綱とりに挑む大関貴景勝(26=常盤山)が、苦手にしている阿炎(28=錣山)に痛恨の2敗目を喫した。立ち合い、もろ手で立った阿炎を押し込みかけたが、引き足の速い阿炎の引き技をまともに食い、残すことが出来ずあえなく土俵を割った。

前日の正代戦で痛めた左膝には白いサポーターが巻かれる手負いの大関。報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「土俵に上がる以上は、そんなこと(ケガのこと)は言ってられない。(阿炎には)先場所のように、踏み込んで距離を置かず、手を伸ばさせないぐらい圧力をかけることだ」と取組前に語っていた。だが、その距離を縮めようと出たところで、阿炎にかわされ目標を失う格好で勝負を決められた。その直後、同理事長は「強気で行くしかない」と短いコメントに、貴景勝の立て直しを期待した。

NHKテレビの大相撲中継で正面の解説を務めた元大関豪栄道の武隈親方は、4日目の土俵に上がる貴景勝について「どれだけ(痛みを)我慢して相撲を取れるか。何でもやる、やりにくい阿炎が相手。持ち前の精神力で、どこまで持ちこたえられるか」と語っていた。痛恨の2敗目を喫した、埼玉栄高の後輩にあたる貴景勝に対し、最後は「負けましたけど、これから頑張ってくれると思います」と期待の言葉を送った。