東十両筆頭の朝乃山(29=高砂)が、全敗と元気のない千代丸を破り、連勝で5勝1敗とした。

立ち合いは、相手のもろ手突きに上体をのけぞらせたが、構わず前に出て圧倒。相手の引きも関係なく、一気に突き出した。4日目に逸ノ城に敗れて1敗したが、前日5日目は栃ノ心との大関経験者対決を制して仕切り直し。再入幕が決定的となる勝ち越しへ、また1歩近づいた。

「目の前の一番に集中して、土俵の上に上がりました。相手をしっかり見て足も運べたと思います」と、納得の表情で振り返った。相手の立ち合いも「もろ手か、胸で当たって突き放してくるか。そのどちらかという考えはしていた」と想定通り。その上で「しっかりと当たれば、押し込んでいけると思っていた。千代丸関は突き落としとか、土俵際の逆転があるので、しっかりと頭に入れながらいけたと思う」と、対応できていたと自己評価した。

千代丸とは大関昇進前の平幕時代以来、5年ぶりの顔合わせだったが、合口は悪かった。これで2勝4敗。朝乃山もそのことは認識していたが「過去は過去のこと。今日はしっかり、目の前の一番に集中して上がりました」と、特に気に留めていなかったという。

今場所初黒星を喫した翌日の栃ノ心戦は、右の相四つの相手に完勝した。取組後は「落ち込んでいる暇はない。寝て、起きたら、また取組がくるので」と、気落ちしている様子は全く見せていなかった。むしろ、敗れた取組の映像を「何十回」と見て研究。上手が切れた状態で前に出て逆転されたことを猛省した。まわしを取って腰を割り、逆転の隙を与えない相撲への意識が強くなった。

一方でこの日の取組後、まわしへのこだわりを問われると「流れで取っていけたらいいかなと思っていたけど、うまくはじいて、相手が引いたところを下から突き放せた。今日はそういう相撲になった」と話した。臨機応変の対応からも状態の良さをうかがわせた。2場所連続の十両優勝に向けて、まだまだ連勝を伸ばすつもりだ。