6日目を終え勝ちっぱなしは、優勝経験があり役力士でただ一人の小結大栄翔(29=追手風)ら3人。報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、三者三様に、ここまでの相撲内容を評価した。

押し相撲の大栄翔は、小結琴ノ若(25=佐渡ケ嶽)に右を差され一気に出られ土俵際に足がかかったが、左に回り込み起死回生の逆転で突き落とした。八角理事長は、逆転がただの偶然でなく、精神面の影響が大きいことを説いて語った。「立ち合いは大失敗。ただその後、ただ下がるのではなく、もがいた。勝ってきている(全勝している)から、もがけた。全勝でここまで来ていなかったら、あのまま引いたりして下がっていたでしょう。(全勝で)元気な人は『何とかしなくては』となる。勝っているから気力が充実している」。白星を重ね気力が充実していると、体が勝手に反応してくれる-。この日の大栄翔の相撲が、まさにそれだったようだ。

経験と地力の差で一山本(29=放駒)を落ち着いてさばき6連勝の高安(33=田子ノ浦)については、大関経験者という実力者だけに、勝っても注文を出した。「ドッシリ構えていたが、つかまえるまで時間がかかった。押し込むのか、つかまえるのか(ハッキリしないと)その間にいなされる場面も出てくる。明確にした方がいい」。技巧派対決で遠藤(32=追手風)を得意の肩透かしで破り、6戦全勝とした翠富士(26=伊勢ケ浜)には「(肩透かしを決める)その前の押し込んでいる攻めがいい。先に攻めているし、思い通りの相撲を取っている」と、伏兵には励みとなる言葉で評価していた。