大関経験者で東十両筆頭の朝乃山(29=高砂)が、湘南乃海との1敗対決を制し、今場所2度目の3連勝で6勝1敗とした。立ち合いから相手得意の左四つとなったが、右を巻き替え。これを嫌った湘南乃海が、さらに巻き替えを狙ってきたタイミングで前に出た。そのまま相手の上手投げと投げの打ち合いとなったが、左からの下手投げで制した。最後は顔面から土俵に落ち、右目下とまぶたを傷つけて流血。それでも「手をついていたら同体でしたし、手をつかずに顔から落ちてよかった」と、傷口に何度も手をやり、気にしながらも堂々と話した。

取組直後には、倒れ込んだ衝撃で、なかなか立ち上がることができなかった。「(土俵に顔を)打ったので、その衝撃でちょっとクラッときました。今のところ大丈夫です」。右目の上下に大きな傷をつくり、脳振とうのような症状まで出ていたが、取組後ほどなく始まったリモート取材にも気丈に応じた。さらに「コロナ前の自分の相撲だったら、手を先についたりしていた。絶対に負けたくない気持ちはあった。(恐怖心は)ないです、大丈夫です。でも顔はたまたま」と、謙遜しつつも、気迫の白星を振り返った。

4日目に逸ノ城に敗れて1敗となったが、5日目に栃ノ心との大関経験者対決を制して仕切り直し。その後は再び連勝街道を歩んでいる。6日目まで無敗だった逸ノ城が、この日、敗れてトップに並んだ。それでも「星勘定は気にせず、目の前の1番に集中したい」と、きっぱりと話した。

前日17日の7日目は、取組前まで対戦成績が1勝4敗という千代丸が相手だった。それでも「過去は過去のこと。しっかり、目の前の一番に集中して上がりました」と、5年ぶりの顔合わせも過去の合口の悪さは忘れて臨んでいた。一方、この日の湘南乃海には過去3戦全勝。いずれも6場所の謹慎休場から明けた後の対戦だったが、むしろ合口は良かった。過去の対戦成績が良くても、油断することなく勝ちきった。まずは再入幕が決定的となる勝ち越し、さらに2場所連続の十両優勝に向けて、気を引き締めていた。