<大相撲春場所>◇9日目◇20日◇エディオンアリーナ大阪

大関経験者で東十両筆頭の朝乃山(29=高砂)が、夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)での再入幕を確実にした。

狼雅を破り、5連勝で8勝1敗。逸ノ城らと並び、十両優勝争いの先頭で勝ち越しを決めた。全28人いる十両で最上位の番付で、勝ち越せば原則的に番付が上昇する。正式には5月1日の来場所の新番付発表を待って決定するが、再入幕をほぼ手中にした。新型コロナウイルス対策のガイドライン違反で、6場所の出場停止処分が出て2年。大関から三段目まで番付を落としたが、ついに幕内に戻ってくる。

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今場所の初日、朝乃山は662日ぶりに立った、幕内土俵をまぶしく感じていた。前頭水戸龍に快勝し、平常心で戦ったつもりだったが「土俵入りの時からお客さんの人数が違う」と、十両との違いを感じた。今場所は十両筆頭。2日目以降は十両終盤での取組が続く。花道を引き揚げる自身が、土俵入りする幕内力士とすれ違うことも多い。道を譲った後、きまって振り返り、幕内土俵入りを見つめた。「通路の端から幕内土俵入りを見るたびに『早く戻りたい』と『悔しい』という気持ちになった」。

謹慎休場中、インターネット上の厳しい意見をあえて直視した。受け止めないと前に進めないと思った。「多かったのは『辞めてしまえ』という声。最初はへこんだけど、今は『見返してやる』『見ておけ』と思える。そうなったのは謹慎の1年が大きい」。精神的にたくましくなって幕内に帰ってくる。【高田文太】

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