幕内最軽量力士の連勝が9に伸びた。西前頭5枚目の翠富士(26=伊勢ケ浜)が、ご当所で随一の人気を誇る宇良(30=木瀬)を押し倒しで下し、初日から無傷の9連勝。優勝争いで単独トップの座を守った。

得意の右差しを宇良のおっつけで封じられたが、構わず圧力をかけ続けた。根負けしたように宇良が左から引いたところを逃さず、右を浅くのぞかせ迷わず走り、豪快に押し倒した。

報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「右の差し方が良かった。(劣勢を)打開しようとして宇良が引いてしまった」と微妙な勝負のあやを解説した。今場所の主役になりつつある伏兵の活躍に、同理事長は「いい緊張感があるんじゃないかな。それだけ気が強いような気がする。(相撲を)楽しんでいるような、それぐらいでちょうどいい」と心境を推察。今後については「本人は(優勝の意識はなく)動けても周りが意識してしまうことがある。それまで勝っていくことが大事」と、後続に星の差をつけて最終盤を迎える必要性を説いた。

ただ、翠富士本人には「気合は入っているけど緊張はしていないという、いいバランスじゃないか。小さい人は気合が入らないと相撲を取れないから」と精神的にも充実していることを感じ取っていた。